はじめに:漠然とした目標の危うさ

日々の生徒とのやり取りや進路面談などをしていると、「将来の夢はなんですか?」という問いに対して、「お金持ちになりたい」と答える生徒は少なくありません。何かを頑張ろうとする前向きな気持ちはすごくわかりますし、目標が全くないよりは、ずっと素晴らしいことだと思います。
ただ、もし本気で何かを成し遂げたいのであれば、「お金持ちになりたい」という目標は、実はまだまだ甘いと言わざるを得ません。
何かを頑張るには、具体的な目標を設定すること、つまり「はっきりとしたゴールを決めること」がとても大事です。今回は、目標を具体的にすることの大切さについて、少し考えてみたいと思います。
狙った直線を引くには何が必要か

紙の上にまっすぐな「直線」を引く場面を想像してください。きれいな線を引くには、何が必要でしょうか?
きっと、多くの方が「定規」と答えるのではないでしょうか。もちろんそれは正しいのですが、実はそれだけでは足りません。
手元に定規があったとして、では、紙の「どこから」線を書き始めて、「どこで」線を止めれば良いでしょうか? ただ定規を当てただけでは、長さも方向もわからない、当てずっぽうの線になってしまいます。狙った通りのきれいな直線を引くためには、必ず「開始点(スタート)」と「最終点(ゴール)」の2つの点が必要になるのです。
実はこれ、人生の選択や目標に向かって頑張ることと、よく似ていると思いませんか?
開始点である「現在の自分」は、すでにそこにいるので変えようがありません。だからこそ、最終点である「ゴール(目標)」をはっきりと決めないと、どの方向に、どれくらい定規を当てて線を引けばいいのか迷ってしまいます。ゴールがぼんやりしていると、ただ漠然と線を引くことになり、本来行きたかった場所にはたどり着けない可能性が出てきてしまうのです。
曖昧なゴールが招く「もったいない頑張り」

目標が曖昧なままだと、たどり着けないだけでなく、「過剰に頑張りすぎてしまう」という無駄を招く可能性もあります。
たとえば先ほどの「お金持ちになりたい」という例。具体的に「いくら欲しいのか」という数字がないと、どうなるでしょうか。
目標がふんわりしていると、日々の行動に結びつかず、結果的にお金が足りなくなってしまうかもしれません。
逆に、漠然とした不安から、「もっと稼がなきゃ」と必要以上に頑張りすぎてしまうこともあります。もし「自分は月に〇〇万円あれば楽しく暮らせる」と具体的に分かっていれば、自分の時間や健康を犠牲にしてまで働きすぎる必要はなかったはずです。もっと早く、のんびりした生活スタイルに変えることもできたかもしれません。
もちろん、がむしゃらに頑張った結果の失敗や遠回りも、決して無駄ではなく、人生の大切な経験になります。ただ、限られた人生の時間を楽しく使うためには、こういった「目的のズレによるもったいない頑張り」は、なるべく減らしたほうが良いのではないでしょうか。
「好きなことを仕事にする」ためにも具体性がいる

この「具体性が大事」という話は、進路や仕事選びにもそのまま当てはまります。
ほとんどの人は、社会人として仕事をしてお金を稼がなければ生きていけません。その仕事を選ぶとき、「好きなことを仕事にする」というのを重視する人が多いようです(いろんな調査でもよく1位になっていますね)。
これもとても素敵なことですが、やはりここでも「自分は一体、何が好きなのか」をしっかり認識することが大切になってきます。
• 何がしたくて、何をしたくないのか。
• 何が得意で、何が苦手なのか。
• どんな働き方が良くて、どんな働き方が嫌なのか。
こういった「自分の本当の気持ち」をしっかりと見つめ直し、自分自身に向き合うこと。それこそが、進路決定という直線を引くための「ゴール(最終点)」を決める作業になります。
まとめ:学校は「自分」を知るための場所

具体的なゴールを設定するためには、まず「自分はどういう人間なのか」を知る、いわゆる自分探しが重要になってきます。
もしかすると、学校生活という時間は、その「自分が何者なのか」を探すための場所なのかもしれません。
日々の授業や部活、友達との関わりの中で、好きなことや嫌いなこと、得意なことや苦手なことを見つけていく。そうやって少しずつ、自分だけの「具体的な目標」という点が打てるようになっていくのだと思います。
今、あなたが引こうとしている線の先には、どんな点が打たれていますか?
少し立ち止まって、自分自身の「ゴール」を具体的に思い描いてみてはいかがでしょうか。
※おわりに(予告)
今回は目標設定の例として「お金」の話に少し触れました。この「お金との具体的な向き合い方(金融教育)」というテーマについても、いずれこのノートでしっかり考察してみたいと思っています。そちらもぜひお楽しみに。



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